水族館を謳歌する(すみだ水族館)

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中野を謳歌 第11回 水族館を謳歌する。

このブログはフィクションであり、筆者の妄想と夢で出来ている。真に受けたことによる一切の責任は負いかねるので悪しからず。

 

これは、すみだ水族館に行ってきた話である。

東京内で数時間のスキマが突然生まれた時、ちょうど良いと電車に揺られてスカイツリーが鎮座する押上駅へ向かったのが始まりであった。

 

押上駅を降り、東京スカイツリータウンをぶらぶらと歩いていると、この建物内に水族館があるという情報を耳にした。先日、海の映画をみたばかりとあって、水族館を楽しむ心持ちは十分である。想像以上に広い東京スカイツリータウンに翻弄されつつ上下左右に動き回った末に外に出た。そこには首の骨が折れるほど高い塔があった。これがスカイツリーらしい。高けぇなオイオイ、と一人興奮していたら首を痛めた。しかも周りの地元民らしき方々にはなんだあの野郎、空なんか見てやがると冷ややかな視線を送られた。電車に乗っている時にチラリと見えれば「おっ、スカイツリーだ」と思っても、実際にスカイツリーの近くで住んでいるともはやただの白い棒なのだ。

 

少し歩くと水族館に到着した。なんとなく勢いで来てしまったものの、本当に水族館に入るとなると緊張する。周りは制服を来た中高生の集団と各所から観光に来た東京旅行団とイチャイチャしているカップルばかりである。一人で首をさすっている男などいない。しかも入場料が2000円くらいするのだから悩む。旅行団の一味のふりをするという作戦も考えなくはなかったが、そんな阿呆のような真似をするくらいなら2000円払ってやろうではないか。そう思い私は列に並んだ。

 

水族館に入って数分後、私は入口で悩んでいた事をくだらなく思った。

海に深く潜ったように薄暗い部屋で美しく水中を舞うミズクラゲ。あの体全体を揺らめかし、それに遅れてゆっくりとヒラヒラする触手は見ていると癒やされる。しかもクラゲには心臓が無いため、体全体に酸素や栄養分をめぐらせるために体を揺らしていると聞き、私はよりクラゲに惹かれた。あの動きは心臓の拍動と同じであり、リズミカルに動く彼らは美しい。全力な人が好きなのと言う人らの気持ちも分からなくはない。彼らの生の鼓動は私が目を離しても止まりはしない。

 

さらに進むと大きな水槽が置かれている。水槽には魚だけではなくたくさんの植物も棲んでいた。まるで海を空間ごと切り取ったように有機的な環境であった。近くに書かれた解説文を見て驚いた。なんと水槽に刺さったパイプから吹き出している泡は酸素ではなく、二酸化炭素らしい。水草二酸化炭素と光を与えて酸素を作らせ、それを使って水槽内の生物が呼吸する。まさに自然の循環を再現していたのだ。

 

その先もたくさんの魚が名札と一緒に様々な水槽内で生活しているのを眺めていた。小さい水槽に小分けにされた魚たちに慈しみと同時に悲しみを感じた。人間のためにこんな狭いガラスの檻に閉じ込めている罪悪感。せめてたくさんの食事をもらっておくれと手を振りながらこの区域を抜ける。

 

次第に開けた場所に出た。一番大きい水槽には多くの種類の魚が縦横斜めと泳ぎ回っていた。視界の外から急に現れたサメには驚きつつも、噂に聞いた通り、おちんちんが二本あるというのを確認した。サメのおちんちんはなぜ二本もあるのだろうかと考えながら大水槽を眺めていると、この水槽自体が大きな子宮に見えてきた。嘘である。そんな詩的に物事を見ることなど私には出来ない。頭の中はちんちんばかりであった。発情期なのか。

 

次に見たのはペンギンの区域である。

水族館は二層構造になっていて、ちょうど上の階と下の階をつなぐ橋の下にペンギンがいるという寸法である。もしも身を乗り出して見ているうちに後ろから突き落とされでもしたら、その瞬間からペンギンの仲間入りである。魚を丸呑みすることを強要され、鳥のくせに飛べないとヤジを飛ばされるのだ。そんな生活は嫌だ! ということで手すりに掴まって遠巻きにペンギンを見る。

この前、ペンギンハイウェイを見たせいか、ペンギンのイメージというのは可愛らしくてちんちくりんなものだというイメージがついていた。しかし実際のペンギンはもっとバサバサしていて獣感がある。近くで見ると恐ろしい。ペンギンハイウェイが実写化されたら気色悪くなってしまうのでないだろうか。

 

そんなことを考えながらペンギンを見下ろしていると、足元から急に大きなカタマリが飛び出してきた。近くにいた少女と私は「うわぁ!」と叫び、少女は母のもとへ走っていった。私はただ胸を抑えていた。どうやら橋の下でアシカが結構な速さで泳いでいたようだ。私は怖くなって橋を駆け足で渡った。

 

そして、いろいろな魚を見て回り散歩がてらに何周かして水族館を後にした。

 久しぶりの水族館だったが、意外と楽しく回ることが出来た。そもそも一人で水族館に行くのは初めてだったので、一人でグルグル水族館を回っているのを客観視するとちょっと悲しくなってくる。次第に一人の楽しさに慣れてしまうのだろうか。あと、デートにもちょうどいい場所だなとも思った。検討されたし。

 

今度は一人焼肉だ、と意気込みつつ、今回の記事は締めさせていただく。

 

二回分の入場料で年間パスポートを買えるすみだ水族館

www.sumida-aquarium.com

 

 

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