映画鑑賞を謳歌する(バースデー・ワンダーランドを見て)

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中野を謳歌 第08回 映画鑑賞を謳歌する。

このブログはフィクションであり、筆者の妄想と夢で出来ている。真に受けたことによる一切の責任は負いかねるので悪しからず。

 

前回のあらすじ

映画鑑賞のために知らない街へ行ったら、エッチな街だった。
 

picnosic.hatenablog.com

 

 

スケベストリートを抜け、映画館のあるショッピングモールに到着した。どうやら地元の小学生の週末の憩いの場らしく、とても騒がしい。催し物もいくつかあったせいで走り回って存分にショッピングモールを謳歌している子供も多かった。

 

映画館が入っているフロアに入ると、その騒がしさも重いドアによって少し遠くなった。見る予定の映画は決まっているが、一応上映されている映画の一覧を見る。その場で見る映画を変更したことは無いが、何となくいつもやってしまう。

 

今回も見る映画は変わることはなく、チケットを買うために列へと並ぶ。同時期に公開している映画の関係上か、小学生ほどの年齢の子どもたちが多い。映画鑑賞という非日常を楽しんでいるように見えて和やかだ。

 

母親にポップコーンをねだる者がいれば、横のモニターから流れるポケモンの映画の予告編を見て、「あっピカチュウだ! 見てみてピカチュウだ!!」と興奮する者もいる。ただピカチュウが写ったときはその場にいたほとんどの子供らの目が光ってモニターに釘付けになっていた。ピカチュウの凄さを改めて実感した瞬間だった。

 

私の番になり、私は店員のいるカウンターの方へ向かい、今回見る映画のタイトルを告げる。店員は映画館の全体図を出して、どのあたりの席がいいかと尋ねる。私は突発的ハライタ症候群という突然お腹が痛くなる、胃腸がマンボウ並に弱い人間なので、列の端以外だと不安でお腹が痛くなるのだ。ちょうど中央が入り口の映画館だったので、真ん中の後方という絶妙な位置の席を獲得した。

 

特にやることもなく、少しショッピングモールを散歩し、早めに映画館に戻ると食べ物を買う列がすでに出来ていた。少しばかりの焦りが生まれて私はすぐさま列に並んだ。私は映画を見る時のほとんどでチュリトスを食べる。ちなみにシナモン味である。ポップコーンはその時々によるが、一人のときは食べないことの方が多い。まぁ財布の問題である。他人の財布で払ったポップコーンは甘くて美味しいのを私は知っているのだ。

 

列に並んでいる間、限定ドリンクやフライドポテトが私の小腹を誘惑してくる。私はお財布の機嫌を伺ってみる。

「誘惑に負けては駄目よ! あなた今月いくら使ったの! moneyforward見て出直しなさい!」

どうやらお怒りのようだった。スマホを開いてアプリを見ると、そこには鬼の面をかぶった支出額が映し出されていた。私はすぐさまスマホをポケットにしまい、「チュリトスのシナモンを一本ください」と店員に頼んだ。

 

想像よりもちょっと長いチュリトスを受け取り、開場を待つ。しかし、早く来すぎてしまった。まだあと十分以上はある。右手に握ったチュリトスが重く感じる。私はチュリトスをかじった。

溢れるほどかけられたシナモンと砂糖の粉はかじった瞬間に顔の周りで舞い、鼻に甘ったるくもどこか爽やかなシナモンの香りが入ってくる。歯車のようにギザギザした表面はカリカリとしていて食感が楽しい。そして中心のフワっとしていてモチモチの部分はカリカリの尖った甘みを優しく包み込んで噛むたびに幸せがこみ上げてくる。美味い。

 

一口でやめられるわけもなく、サクモチサクモチしていると、あっという間に半分近く胃袋の中に移動していた。我に返ってチュリトスを体から引き剥がす。こいつは魔物だ。しかし、私はこう思った。映画上映中にチュリトスを食べたらどうなるかと。

シリアスなシーンで劇場に響くサクサク音。感動的なシーンでモッチモチとチュリトスを喰らうのはどういうことかということを。昔、上映中にポップコーンを食べようと思ったら想像以上に音が響くものだから、BGMが大きくなって騒がしくなったタイミングを見計らってポップコーンをムシャムシャ食べた記憶が蘇る。

 

映画が始まったらチュリトスを思う存分楽しめないのではないか。

 

そう思ったら早かった。チュリトスは開場と同時になくなっていた。私は満足げな顔で映画館へと入っていった。

 

今回見る映画はバースデー・ワンダーランドという映画だ。

私は声優の東山奈央さんが好きなので、もともと気になってた映画に好きな声優さんが出ていると聞けば行くしかなかったのだ。

 

上映前の長い広告や映画の予告編を楽しんでいると、 私の前を通って仲の良さそうな親子が奥の方の席へ入っていった。周りを見ると、親子がたくさんいて、私はちょっと気まずいような気持ちを覚えた。しかし劇場が暗くなっていくにつれ、そんなことは気にならなくなった。

 

バースデー・ワンダーランドという映画は、地下室からのふしぎな旅 著:柏葉幸子 という作品が原作である。

 

 主人公のアカネは誕生日プレゼントをもらいに知り合いの店へ向かうが、物置だったはずの地下室から突然謎の男と妖精? がやってくる。アカネが必要だと連れて行かれた先は不思議な異世界。この世界は色を失い始めていて、それを解決する鍵はアカネにあるという。あちこちで暴れまわる暴君の正体とは……そしてアカネは無事にこの世界の色を取り戻せるのか……! という物語である。

 

 映画が終了し、EDが流れる。曲も好みのタイプである。映画の余韻に浸るエンドロールの数分間、私はずっと横が気になっていた。私から5席ほど離れた奥に、仲の良さそうな親子が座っている。子供の方は小学生3,4年生だろうが、映画の最中の盛り上がるタイミングや主題歌がかかったタイミングで迷惑にならないくらいの小声でフゥゥ〜!と興奮した声をあげていたのだ。別にタイミングとしては間違ってないので私も気にならなかったが、EDのサビが流れた瞬間、私は驚くこととなる。

 

「うおおぅ〜!」と言いながらヘッドバンキングをしているのだ。

 

私は笑いをこらえるのに必死であった。ただ、彼が映画館を出る時「すごく面白かったね、お母さん!」と言っていたので、彼の最上級の喜びの舞いだったのだと思うと少し私も楽しくなってきたのであった。

 

そんな、少年がヘドバンするほど面白いバースデー・ワンダーランド。

どんよりとした物語のファンタジーではなく、イメージとしてはデフォルメされた童話のような感触の映画だった。悪意に立ち向かう物語ではなく、少年少女らの成長の物語、という方が的確なのではないだろうか。にしても、アカネは小学生というよりも中高生と言われたほうがしっくりくる体格だったような気もしないでもない。

ただ面白かったことに変わりない。

 

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milet「Wonderland」MUSIC VIDEO 映画『バースデー・ワンダーランド』

 

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